
2026年7月26日(日)、境港のみなと祭の一環で「みなと提灯あるき」が開催されました。戦後間もない頃から、戦没者やご先祖への想い、港の復興への願いを込めて続けられてきた、みなと祭の灯ろう流し。その大切な想いを見つめ直し、次の世代へつなぐ新しい形として昨年から始まったのが、「みなと提灯あるき」です。今年も、子どもたちや帰省中の家族を含む多くのみなさんが、提灯を手に境水道沿いを歩きました。
途中の海岸緑地では、さかゑリビングラボによる「ちいさな夕波マルシェ」も開催。歩く、休む、佇む。境水道沿いで人が過ごすことの可能性を、改めて感じる一日となりました。
みなと祭の中心にあった「灯ろう流し」
境港のみなと祭が始まったのは、今から80年前の1946年、昭和21年のことです。戦後間もない時代に始まったみなと祭には、戦没者やご先祖への慰霊、そして港やまちの復興を願う人々の想いが込められていました。なかでも「灯ろう流し」は、そうした想いを水辺から送り、みんなで受け継いでいく、みなと祭の大切な中心のひとつでした。
しかし、灯ろう流しは数年前から開催することが難しくなっていました。形が変わっても、そこに込められていた想いまで途切れさせたくない。その「大切なこと」をもう一度見つめ直し、次の世代へつないでいく新しい灯ろう流しの形として、昨年から始まったのが、「みなと提灯あるき」です。
提灯を手に、境水道沿いを歩く
今年の提灯あるきは、海とくらしの史料館からスタートしました。当日は、子ども連れのご家族が多く、県外から境港へ帰省していた子どもたちの姿も見られました。それぞれが提灯を手に持ち、境水道沿いをゆっくりと歩きます。先頭を歩いていると、後ろから、
船のこと。
橋のこと。
水辺にいる鳥のこと。
境水道を流れる水のこと。
対岸に見える山々のこと。
それぞれが目にしたものについて、口々に話す声が聞こえてきました。普段なら車で通り過ぎてしまう風景も、提灯を手に、みんなで同じ速度で歩くことで、自然と目に入ってきます。ただ目的地へ向かうのではなく、途中にある風景を見つけ、誰かと共有しながら歩く。かつて灯ろうに託されてきた想いを受け継ぎながら、今を生きる子どもたちや家族が、境港の風景と出会い直す時間になっていました。

境水道沿いに、小さな休憩場所を
提灯あるきの途中には、境水道沿いの海岸緑地に休憩場所を設けました。さかゑリビングラボでは、その休憩場所にあわせて、「ちいさな夕波マルシェ」を開催しました。簡単なベンチを数台置き、ビールやかき氷などを提供する3店舗が並ぶ、小さな小さな夕市です。大規模なマルシェでも、つくり込まれた会場でもありません。
それでも、歩いてきた人が腰を下ろし、飲み物や食べ物を手に取り、境水道を眺めながらひと息つく姿がありました。提灯あるきに参加していない方にも立ち寄っていただき、夕暮れの水辺で、思い思いの時間が生まれていました。

市ゼミにつながる、小さな実践
今回の「ちいさな夕波マルシェ」は、これから始まる「市ゼミ」に向けた小さな実践でもあります。市ゼミでは、境港のまちなかに小さなマーケットをひらき、参加者のみなさんと一緒に考え、試し、育てていきます。今回の夕市では、まずは小さく、
・お店を並べる
・ベンチを置く
・歩いてきた人が休める場所をつくる
・境水道沿いで立ち止まるきっかけをつくる
ということを試しました。3店舗と数台のベンチだけでも、人が立ち止まり、話し、景色を眺める時間が生まれました。大きな設備や特別な演出がなくても、ほんの少しのきっかけによって、その場所での過ごし方は変わる。そのことを実感できる、小さな実験となりました。
歩く、休む、佇む。そこに居られる場所へ
ここからは、さかゑリビングラボ運営事務局であり、「みなと提灯あるき」の企画者でもある永井の所感です。今回、提灯を持って境水道沿いを歩く人たちの会話を聞き、夕波マルシェで休む姿を見ながら、歩く。休む。佇む。そこに居られる。そのこと自体が、境水道沿いの大きな可能性なのだと、改めて感じました。境水道沿いには、船が行き交い、鳥が飛び、水が流れ、その向こうに橋や山々が見えます。そこへ人が加わり、それぞれが風景を見て、話し、休み、出会うことで、小さな物語が重なっていきます。
・ここに来れば、居られる。
・誰かと出会える。
・語ることができる。
・自分の営みを見てもらえる。
・同じ風景を感じ合える。
境水道沿いは、そんな場所になっていけるのではないかと思います。灯ろう流しから受け継がれてきた想いも、完成された形をそのまま残すことだけではなく、人が集い、水辺を歩き、同じ風景を見ながら語り合うことによって、今の時代へつながっていくのかもしれません。今回の提灯あるきと夕波マルシェは、その可能性をもう一度確かめる一日となりました。

大切な想いを受け継ぎながら、小さく試していく
みなと提灯あるきは、かつての灯ろう流しをそのまま再現するものではありません。そこに込められていた慰霊や感謝、復興への願いを受け止め、今の時代にできる形で、次の世代へつないでいく試みです。さかゑリビングラボでも、今回のような小さな実践を重ねながら、境港のまちなかや境水道沿いでの過ごし方を考えていきます。最初から完成した場所をつくるのではなく、
・試してみる。
・そこで起きたことを見る。
・みんなで話す。
・そして、少し形を変えて、また試してみる。
その積み重ねから、境港の日常に根づく場所や営みを育てていきます。ご参加いただいたみなさん、出店いただいたみなさん、運営にご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。
みなと提灯あるき企画・協力
みなと祭実行委員会 提灯あるき企画チーム(株式会社エートス、ムスヒ)
ちいさな夕波マルシェ主催
さかゑリビングラボ
関連情報
市ゼミ参加者募集中
境港のまちなかで、小さなマーケットを一緒につくり、育てていく参加者を募集しています。
▼市ゼミ詳細
https://sakae-livinglab.jp/schedule/150/
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担当:永井
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さかゑリビングラボは、境港市委託事業の『新しい“まちなか”創生ビジョン策定業務』の一環として実施しています。