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  • 日時|2026年9月3日(木)・9月5日(土)
  • 会場|みなとテラス
  • 参加|無料

船をとおして、境港を見る|第3回さかゑリビングラボを開催しました

今回のテーマは「船」。船大工・美術作家の小川智彦さんとともに、木造和船づくりの映像を見ながら、船のつくり方や船大工の技術、土地ごとに異なる船の形、そして船と人の暮らしについて話を聞きました。

けれど、この2日間で考えたのは、船の構造や技術だけではありません。これから境港で実際に一艘の船をつくる前に、まずはみんなで、船を通して、境港をを考える時間になりました。

船は、その土地の暮らしを映す道具

同じ「船」でも、形は土地によって違います。

どんな水辺を行き来するのか。
何を運ぶのか。
何を獲るのか。
何人で乗るのか。
どんな木や技術が使えるのか。

それぞれの条件が重なりながら、その土地に合った船が生まれてきました。つまり船は、単なる「水の上を移動するための乗り物」ではなく、その土地の暮らしや仕事、環境、技術が形になったものでもあります。小川さんの話を聞きながら、参加者からはさまざまな声が上がりました。

「昔の大工さんは、家も船もつくれたと聞いたことがある。家と船のつくり方は似ているんですか?」
「木造船をつくるところを見るのは初めて。船大工さんがまず格好いい」
「小屋と船が一体になっていく、という話が印象に残った」

話を聞くほど、これまで遠くにあった「木造和船」という存在が、少しずつ具体的なものになっていきます。

「なぜ、こうなっているんだろう?」

映像の中では、大きな木を削り、曲げ、組み合わせながら、一艘の船が形になっていきます。機械で寸分違わずつくるのではなく、木の癖を読み、人の手で微調整を重ねていく船づくり。

「削りすぎることはないんですか?」
「板が割れたり、折れたりすることも?」

そんな素朴な疑問も次々に生まれました。完成した船だけを見ていると気づかないこと。

なぜ、この形なのか。
なぜ、この材料なのか。
なぜ、このつくり方なのか。

一つひとつ理由をたどっていくと、船を見る風景そのものが少し変わっていきます。

昔の船を懐かしむ、ためではなく

今回の船ゼミは、かつてあった木造船をそのまま懐かしむための取り組みではありません。また、「昔の船を一艘再現して完成させること」だけが目的でもありません。船という道具を手がかりに、

境港ではどんな暮らしがあり、
どんな技術があり、
人と水辺がどんな関係を結んできたのか。

それを、今のまちからもう一度読み直してみること。そして、実際に自分たちの目の前で船が生まれていく過程に触れながら、これからの水辺との関わり方まで考えてみること。そのための入口が、今回の2日間でした。

「乗ってみたい」

難しい技術の話を聞いている途中にも、参加者からぽろりと出てきた言葉がありました。

「実際に境港でつくるなんてすごい」
「船に乗ってみたい」

とても単純な言葉ですが、船ゼミにとっては大切な反応のように思います。

船について知る。技術を理解する。その先に、触ってみたい。つくってみたい。乗ってみたい。そんな身体的な興味が生まれる。船が、知識の中にあるものから、自分たちのまちに実際に現れるものへ変わっていった瞬間でもありました。参加者のみなさんの反応からも、船大工への関心や実際の船づくりへの期待が広がっていったことが見えます。

話を聞く場から、本当に船が生まれる場へ

そして今、船ゼミは次の段階へ進んでいます。船づくりの作業小屋が決まり、木材が入り、実際の制作が始まりました。9月19日から23日には作業小屋をひらき、OPEN DAYやワークショップ、伝統的な造船技術に触れるプログラムも実施。この秋から冬にかけて、船が少しずつ形になっていきます。12月頃には完成・お披露目を予定し、さらに3月頃には、つくった船を水に浮かべ、実際に漕いでみるところまで。

今回のリビングラボは、「船の話を聞く場所」から、「本当に船が生まれていく場所」へ。その間に架かった、小さな橋だったのかもしれません。船を見る目を持ってから、もう一度、境港の水辺を見る。そこには、これまでと少し違った風景が見えてくるのでしょう。

さかゑリビングラボは、境港市委託事業の『新しい“まちなか”創生ビジョン策定業務』の一環として実施しています。